10.八方位の割り出し方

一般的な方位は東西南北の4方位を基準にして、北東、南東、南西、北西の4方位を合わせた計8方位をさすことが多く、一部気象や交通地図などでさらに詳しく北北西や南東などの16方位が使用されることがあります。

「九星気学」における方位も8方位を基準としますが、同じ8方位でも一般的な地図上の8方位とは少々異なります。一般的に地図などで使われている8方位は360度を均等に8等分した45度間隔で表示することがほとんどですが、「九星気学」では東西南北の4方位は各30度、北東、南東、南西、北西の4方位は各60度として考えます。

これでは東西南北の4方位は他よりも範囲が狭く違和感がありますが、このような違いが発生するのは、もともと九星気学の方位を決定する原理として地球に影響力のある「木星」が大きく関係しているためです。「木星」は太陽を12年周期で公転するため地球の地磁気に対しても12区分の影響を及ぼします。その12区分を便宜上「十二支」に当てはめて理論化しているのです。各方位に「干支(えと)」がついているのはそのためです。

十二支はその名のとおり12種類ありますが、「九星」と同じように各方位における「定位置」が決まっています。360度を12等分すると1つが30度となりますので、十二支も30度ずつ割り振られます。「九星」と違って十二支は遁行のような移動は致しませんので、常に決まった方位に座しています。また中宮のような中心位置も存在しません。

実際には北に「子」が位置しており、ちょうど時計の長針に例えると正午を境に11時30分から12時30分までの30度の範囲がそれにあたります。次に12時30分から1時30分までが「丑」、1時30分から2時30分までが「寅」、2時30分から3時30分までのちょうど東30度が「卯」と続いていくのです。実はこの「丑」と「寅」はお互い「気」が混ざり、「艮(うしとら)」という方位を作り上げています。通常、「気学」でいうところの北東の方位はこの「艮」をさすため、地図上で60度となるのです。同じように、東南の方位には「巽(たつみ)」、南西の方位には「坤(ひつじさる)」、北西の方位には「乾(いぬい)」、が支配しているため、同様に60度となります。

「乾(いぬい)」や「巽(たつみ)」はよく耳にする言葉で、お城の門などの名前で現在でも残っています。
一方、「艮(うしとら)」と「坤(ひつじさる)」はあまり耳にしませんが、これは「艮」の方位を別名「鬼門」、「坤」の方位は別名「裏鬼門」と呼んでいるためその呼び方のほうが一般的になっているためです。「鬼門」などというと恐ろしいことが起こるような印象を受けますが、「鬼門」「裏鬼門」は玄関などの入り口にすると入りこむ「気」が強すぎるため、悪影響が大きくなるという点、またこの方位を汚すと著しく運気が低下するため清潔にしなければならないという2点だけを注意していれば、方位取りや祐気取りの際に、特に避けなければならないといった制約はありません。実際に世界標準の風水学には「鬼門」や「裏鬼門」といった言葉すらありません。尚、気象用語や地図上では方位を「北東」「南東」「南西」「北東」という呼び方としていますが、「気学」では「東北」「東南」「西南」「西北」と呼び、図面上では南を上として考える古い風習が残っておりますので、最初は混乱するかもしれませんがぜひ慣れていただきたいと思います。

ここで疑問が生じる方もいらっしゃるかと思いますが、家相を見るときの風水についてもこの30度60度の8方位を使うのでしょうか。答えはNoです。
家相を見るときの風水(=玄空飛星風水法)においては、干支を元にした方位区分ではなく、八卦を元にした方位区分でみますので、各方位は45度ずつ計8方位で見ます。ここでは九星気学の解説に留めますので、詳しい原理の説明は省きますが、起源が同じ九星気学と家相を見る風水であっても、使う元データが異なるということだけ覚えておいてください。

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